今月から最低賃金が上がります。我が茨城県も昨年から32円上昇の911円となり、ついに900円台に突入しました。結構、アルバイトの時給を900円としている企業がありますので、例年以上に注意が必要です。新たな最低賃金が適用になるのは、10月1日からですので、月末締めの翌月払いの企業であれば11月に支給する賃金から適用になります。10月1日から食品等色々な物が値上がりしますので、最低賃金がアップしてもなかなか大変そうです。
賃金不払残業と解消のための取組事例~厚生労働省「監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和3年度)」より
- 1.企業の賃金不払い
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賃金の不払いは、労働者の生活に直結する大きい問題であることから、最も労働基準監督署(労基署)に相談が寄せられやすいものの一つです。「残業時間に対して給与が支払われない」という情報をもとに、労基署から企業に監督指導が実施されるケースは多く、不適切な管理をしている企業は、このような監督指導によって対応を迫られることになります。
- 2.1企業当たりの遡及支払の平均額は609万円
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厚生労働省は、労基署の監督指導により、令和3年度(令和3年4月~令和4年3月)に不払いとなっていた割増賃金が支払われたもののうち、支払額が1企業で合計100万円以上である事案をまとめて公表しています。それによれば、
- (1)是正企業数1,069企業(前年度比7企業の増加)うち、1,000 万円以上の割増賃金を支払ったのは115企業(同3企業の増加)
- (2)対象労働者数64,968人(同427人の減少)
- (3)支払われた割増賃金合計額65億781万円(同4億7,833万円の減少)
- (4)支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり609万円、労働者1人当たり10万円
- (5)業種別企業数は、1位:製造業196企業、2位:商業183企業、3位:保健衛生業158企業、4位:建設業146企業、5位運輸交通業及び教育・研究業74企業
- (6)業種別対象労働者数は、1位:保健衛生業16,652人、2位:製造業11,643人、3位:教育・研究業6,086人、4位:商業5,494人、5位:建設業4,166人、6位:運輸交通業3,184人
- (7)業種別是正支払額は、1位:保健衛生生業156,740万円、2位:製造業95,787万円、3位:商業71,060万円、4位:建設業68,768万円、5位:教育・研究業68,755万円、6位:運輸交通業25,386万円
- 3.賃金不払残業の解消のための取組事例
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本取りまとめでは、あわせて賃金不払残業解消のための取組事例も紹介しており、以下のようなものが挙がっています。
- (1)各施設の管理者を対象とした労働時間の適正な管理に関する研修会を実施。
- (2)適正な労働時間管理に関することを人事評価の項目として新しく設けることや管理者が労働者に労働時間を正しく記録することについて継続的に指導を実施。
- (3)管理者が月に2回パソコンの使用記録と勤怠記録の確認を行い、2つの記録に乖離がある場合については、労働者に乖離の理由を確認。
残業時間を過少申告する風潮があることが原因となっている企業は少なくないようです。改めて自社の実態を点検してみてはいかがでしょうか。
【厚生労働省「監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和3年度)」】
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こちらをクリックしてください。- 令和4年10月1日
- 茨城県つくば市松野木163-3
- 望月社会保険労 務士事務所
- 代表・特定社会保険労務士
- 望月 正也