SRトピックス Vol.237
来月1日から働き方改革関連法の年次有給休暇の強制取得が始まります。大企業は、これに加えて残業時間数の上限規制もスタートしますので、最後の準備に大忙しのことと思います。残業時間数の上限規制は中小企業では1年間の猶予がありますが、慢性的な人手不足の中での有給休暇の強制取得は中小企業でもこの4月からスタートします。就業規則の変更や、有休管理簿の管理棟準備が大変ですが、しっかりと対応して行きましょう。
気になる!企業のソーシャルリスク対策の実態
- 1.従業員の不適切動画投稿問題で改めて問われる企業の対策
- 最近、飲食店やコンビニの従業員が投稿した不適切動画問題が、企業の評判に悪影響を及ぼしかねない事件が、立て続けに起こりました。対応については、従業員に損害賠償請求訴訟を起こす決定をした企業、全店休業して社員研修を行う決定をした企業と様々ですが、SNSを活用する企業も個人も増えている中では、いつ問題に巻き込まれても不思議はありません。まだ社会人としての自覚に乏しい新入社員の入社も近づくこの時期は、自社の対策を確認しておくべき時期とも言えるのではないでしょうか。
- 2.多くが何らかの対策を講じており、4割が研修を実施
- ウェブサイトやアプリのユーザーサポート等を行うアディッシュ株式会社が、2018年12月に行った調査によれば、ソーシャルリスク対策について「未実施。今後も実施なし」と回答したのは5.2%で、多くの企業が対策を行っています。具体的な内容を実施率で見ると、「研修の実施」39.1%、「ガイドライン作成」37.2%、「マニュアル作成」30.9%が上位に入っています。しかしながら、従業員数別に見ると100人以上300人未満の研修の実施率が50%であるのに対し、100人未満では19.1%と、十分な対策が取られていない可能性があります。
- 3.雇入れ時に自筆の誓約書を書かせるのも有効?
- 人事コンサルタントの増沢隆太氏によれば、研修の実施や朝礼時の啓発を継続的に行うとともに、雇入れ時に、自筆で、バイトテロを起こした場合の損害賠償を約束させる誓約書を取り交わすのが望ましいそうです。例えば、店舗復旧に必要な清掃や消毒、商品の廃棄や交換、休業補償などを当事者負担で行うことを明文化しておくのだそうです。用意された誓約書にサインさせるのではなく、従業員自身に内容を書かせることが、バイトテロ行為を行うことのリスクを自覚させるのに有効だということです。
- 4.未実施の場合は早急に対策を検討しましょう
- 不適切動画を投稿した本人による「せいぜいクビになるだけ」という趣旨の発言が報道にもありましたが、不適切動画の投稿はスマートフォン1台あれば簡単にできますし、投稿する従業員自身も社会問題に発展しかねないリスクを自覚していない可能性があります。
新入社員だけでなく、既存の従業員も対象に、一度研修の実施を検討してはいかがでしょうか。
- 平成31年3月15日
- 望月社会保険労務士事務所
- 代表・特定社会保険労務士
- 望月 正也